2020年7月20日月曜日

  ライフデザイン:苦難と忍耐


今のときの過ごし方〜苦難と忍耐
2020/4/21
星野 隆三
新型コロナウイルスは、
未だ世界中に蔓延しその勢いは衰えを見せていません。
今年になって突然起こったグローバルな災いが、
世界の人々に「苦難」をもたらせています。この事態を、
私たちはどのように捉え、乗り越えていったら良いのでしょうか?





『 四耐四不(したいしふ

という言葉を最近知りました。
中国思想家:王陽明が、
35歳のときに「苦境」の中で生みだしたことばです。
苦難のときは・・・
高い志を持ち、
苦しみに耐え、
(悩み心配する事)に耐え、
(閑職やひまな事)に耐え、
怒ることなく、
(さわ)がず、
競わず、随わず(付和雷同せず)など、
堅固な姿勢を持ちなさい! 
つまり、
苦難のときには、四つの忍耐と四つの我慢で乗り越えなさい、
と言っています。

この世界には、不条理な事実がたくさんあります。
そのような時に私たちは、
行き場のない悲しみや憤りそして苦難を体験します。
災害・戦争・病・突然の死・今回の疫病などからくる「苦難」は、
決して納得できるものではありません。
このような時に、私たちは「なぜ私だけが・・・」とか
「なぜ神がこんなことを私に・・・」という思いを持ちがちです。
しかし
他者のせいにしている限り、苦難を乗り切ることはできません。






聖書では「苦難」について、どのよう記述があるでしょうか?

ルカの福音書134節に、
シロアムの塔が崩れて、多数の人が亡くなった事故のことが書かれています。
その時、弟子たちは、
亡くなった人たちが何か罪を犯したから死ぬことになったのではないか?
とイエス・キリストに問いました。イエスの答えは・・・

「シロアムのが倒れて死んだあの18人は、
エルサレムに住んでいるだれよりも多く、
罪の負債があったと思いますか。
そんなことはありません。
わたしはあなたがたに言います。
あなたがたも悔い改め
ないなら、みな同じように滅びます。」

イエスは、
彼らが災いにあったのは、
被災者が特別に悪い事をしたから死んだのではなく、事故なのだ、
と言っています。
大切なことは、
起こった災害に対して、私たちはその原因を神や仏や人のせいにするのではなく、
起こってしまったからには、これまでの生き方を顧みて、
間違いに気づいたらそれを正しい生き方に改めることが、
このような災難に対して取るべき私たちの態度だ、と言っているのです。

東日本大震災のときの例でいえば
(原発事故の方は人災といえるでしょうが)津波は自然現象です。
大船渡市在住の開業医でクリスチャンの山浦玄嗣さんは、
震災の体験を次のように語っています。

「東京から取材にくる記者たちは、
そろいもそろって『実直な東北の人たちが、
なぜ、このようなひどい目に遭わなくてはならないのか、
神や仏はこういう人たちを、
いったいなぜこのようなむごい目に遭わせたのか?』と聞いてきた、
と言います。
震災直後から、何千人という患者を診察してきた山浦医師は、
憮然と答えます。
『なして、おらアこんな目に遭わねアばなんねアんだべ』
(なぜ、自分たちはこんな目に遭わなくてはならないのか)
などと恨み言を言った人は周りにはひとりもいなかった」と、
体験を語っています。
東北の人たちにとって
神や仏は、災いをもたらす方ではなく守り助けて下さる方だったのです。
つまり、
様々な不条理があるこの世で、「なぜ」と問うこと自体が意味のないことだ、
そもそも人間が生きていること自体が不条理とも言えるので・・・
大切な事は、起こったことを受け入れ、
その後には自らを正して一生懸命に生きていくことが肝要なのだ、
と山浦さんは言っています。

旧約聖書 詩編22:4-5節に、
イスラエルの民が、信頼する神により代々助けられてきた事が書かれています。

あなた(天地創造の神)に、私たちの先祖は信頼しました。
彼らは信頼し、あなたは彼らを助け出されました。
あなたに叫び、彼らは助け出されました。
あなたに信頼し、彼らは恥を見ませんでした。

ここで・・・
今回の新型コロナウイルスによる「苦難」をとうして、
反省すべき事は何でしょうか?

これまでの世界を振り返ると多くの問題がありました。
第一は
人間の欲望と高慢な心です。
そのことによって、軍拡競争による多額の軍事費、
自国優先による国同士の対立、経済最優先による生活格差の拡大、
過度な企業間競争による働き過ぎ等々が、
社会のゆがみとして起こっていました。
今後私たちは、
これら間違っているところは正していかなければならないのです。




それでは、聖書から「苦難」について学んでみましょう。

苦難のときには・・・

1)主イエス・キリストを信頼し守っていただく

主は、あなたを守る方。
主は、あなたの右の手をおおう陰。
昼も日があなたを 打つことがなく、
夜も月があなたを打つことはない。
主は、
すべてのわざわいからあなたを守り、あなたのいのちを守られる。
   (詩篇121:5~7)

2)主イエス・キリストにお任せし心配しない

ですから、わたしはあなたがたに言います。
何を食べようか何を飲もうかと、
自分のいのちのことでしたり、何を着ようかと、自分のからだのことで
心配したりするのはやめなさい。
いのちは食べ物以上のもの、からだは着る物以上のものではありませんか。
あなたがたのうちだれが、
心配したからといって、少しでも自分のいのちを延ばすことができるでしょうか。
なぜ着る物のことで心配するのですか。
野の花がどうして育つのか、よく考えなさい。
働きもせず、紡ぎもしません。
ですから、
何を食べようか、何を飲もうか、何を着ようかと言って、
心配しなくてよいのです。
ですから、
明日のことまで心配しなくてよいのです。
明日のことは明日が心配します。
苦労はその日その日に十分あります。
(マタイの福音書6)

3)心配を主イエス・キリストに委ね思い煩わない

あなたがたの思い煩いを、いっさい神にゆだねなさい。
神が
あなたがたのことを心配していて下さるからです。
 (ペテロの手紙第一57節)


4)キリストは人に耐えられないほどの苦難は与えません

あなたがたが経験した試練はみな、
人の知らないものではありません。
神は真実な方です。
あなたがたを耐えられない試練にあわせることはなさいません。
むしろ、
耐えられるように、試練とともに脱出の道も備えていてくださいます。
 (コリント人への手紙第一10:13)

5)苦難は人格の成長と希望をもたらします

私たちは苦難さえも喜んでいます。
患難が忍耐を生み出し、
忍耐が練られた品性を生み出し、
練られた品性が希望を生み出す
と知っているからです。
この希望は失望に終わることがありません。
 (ローマ人への手紙5章3−4節)

6)忍耐こそが勝利の秘訣です

様々な試練にあうときはいつでも、
この上もない喜びと思いなさい・・・
忍耐を完全に働かせなさい。
そうすれば、
あなたがたは何一つ欠けたところのない、
成熟した、
         完全な者となります。  
(ヤコブの手紙124 




結論
「患難汝を玉にす」ということわざがありますが、
苦難や試練は、人間性向上の訓練と思って乗り切ることです。
主イエス・キリストはあなたを必ず守って、助けてくださいます。
忍耐し、勝利を待ち望みなさい。
苦難をクリアする事によって、
あなたの心は磨かれ、逞しく、謙虚な人間へと成長していくのですから。




日本の細菌学者:野口英世は、
153センチという短駆であり、
幼時に火傷で左手を変形するが「苦難」にめげなかったのです。
彼は、
向上心を促すための言葉を実に多く残しています。
刻苦勉励型。
己を持す「己持」、「至誠」、精神を養う「養神」、動かない「動不」。
母校の翁島小学校で
「成功の秘訣とは何か」を問われた英世は、
『目的・正直・忍耐』という言葉を贈っています。
彼は黄熱病の研究中に、
自らがかかり51歳で亡くなりました。





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